むら

はちどりのむらのネタバレレビュー・内容・結末

はちどり(2018年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

「house of hammingbird」
ハチドリは脈拍がすごく早いらしい。
すごく静かな作品に見せかけて目まぐるしく何かが動いている印象。

思春期特有の心の移ろい、不安定さを感じる作品はたくさんあるけど、この作品はそこからさらに普遍的なことに昇華されてるような気がする。
そう感じさせるのは1994年という現実が緩やかにしかし徐々にしっかり絡み合っていくからだろうか。

「簡単に同情したくない、分からないから」みたいな台詞にドーンときた。その前の「相識満天下 知心能幾人」から繋がって最近悶々と抱いていたことをスッキリさせてくれた感覚。
可哀想、辛そうって思うんじゃなくて、ただ寄り添いたい。
それでいうとこの作品は全然同情させてくれない、分からないから。分からないのは理解ができないのではなくて、今見ている画のさらに奥、さらに外に何かがあるような気がして、想像を凝らすけれどその想像に正解はないから分からないとしか言いようがない。
分からないの塩梅が絶妙で1秒たりとも見逃したくないと思った。
豊かな時間。
すごく眼差しが、沈黙が、綺麗な映画だった。
むら

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