たかちゃん

映画はアリスから始まったのたかちゃんのレビュー・感想・評価

映画はアリスから始まった(2018年製作の映画)
4.0
史上初めて物語のある映画を作ったのが女性監督アリス・ギイであることは、あまり知られていない。本作の冒頭でも、映画人に「アリス・ギイを知っているか」と質問するが、一様に知らない、聞いたこともない」と答える。本作はアリスの歩みを掘り下げてゆくと、彼女の第1回作品が映画史の文献では助監督であった男性名に改ざんされていたり、作品そのものの所在が不明になっているのだ。アリス自身も映画草創期に残る偉業との意識はなかったようだ。引退してから、自分の功績が記録に残されていないことに気づく。そして回顧録を残すのだ。
わが国の文献も、例えば「世界映画人名事典」(75年版 キネマ旬報社刊)を見てもアリス・ギイは載っていない。今年の国立映画アーカイブ「フランス女性監督特集」で「アリス・ギイ短編集」が上映され、存在が知られるようになった。本作は、意図的に隠蔽された映画史の発掘ともいえる貴重なドキュメンタリー映画。
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