ad

ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -のadのレビュー・感想・評価

4.1
あの事件があって公開自体が危ぶまれた作品。
まずは公開してくれてありがとうございますという気持ちしかない。

そういった点を差し引いてみても良い作品だった。

エイミー、テイラー2人を軸に二部構成のようなつくり。前半は圧倒的百合力を表現しつついずれ必ずやってくる別れについての物語。エイミー視点ではテイラーとの別れはもちろん、ヴァイオレットとの別れもドラマのひとつだ。

後半はエイミーを想うテイラーの物語。郵便配達という仕事に憧れを持ち、ベネディクトとヴァイオレットについて仕事や文字を理解していくテイラーの成長譚でもある。
テイラーの言動に感化されるベネディクトもカッコいい。

「届かなくてもいい手紙なんてない」
この言葉をより抽象化するなら「届かなくてもいい気持ち(想い)なんてない」ということ。
テイラーからの手紙を受け取ったエイミーはもちろん、その様子を陰から見ていたテイラーにも気持ちは伝わっていた。もはや尊みしかない。

少しレビューめいたことを書き留めておくと、TVシリーズからの映画化ではよく「初見でもわかりやすい」かどうかが観点になることが多いが、この作品はエイミーを通してすごく自然にヴァイオレットの境遇を説明している。その点があまりにも説明的だと興ざめしてしまうので間違いなく良かったポイントだと思う。
ad

ad