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天国にちがいないのhoshikazukanjoのレビュー・感想・評価

天国にちがいない(2019年製作の映画)
3.8
スレイマン作品は初めて見たが、その徹底された美意識に感服した。
多くのシーンで一点透視が使われていて、画面中央に視線誘導するような構図になっている。

「3」というのがスレイマンの美しいと思うポイントなのか、いたるところで「3」が意識される。3人だったり3つだったり、「3」になることで 左・中央・右 が生まれるから、つまり上記のとおり中央への視線誘導に繋がる。
タクシーから降りてきた観光客2人組もスレイマンが画面に加わることで3人になる。向かいの建物の窓も3つ。テラス席のサイズを計りにくる警察官(?)も4人で来るけど、スレイマンを中央に挟んで、2人ずつに分かれることで結果として「3」の構図になり、中央への視線誘導になる。

サイレント映画っぽくて素朴な感じとかはたしかにジャック・タチっぽいと言われる所以なのかもしれないけど、私はあまりタチっぽさは感じなかったかな。
というのも私はタチコメディの根源は「タイミング芸」だと思っていて、日常におこりうる偶然の連続が面白いんだよね。
スレイマン(というかこの作品)は、完璧主義者のタチよりももっと緻密に緻密に画面設計しているなと思うし、だからこそ非現実的というか、シュールで、世にも奇妙な物語っぽい。不気味な域にいる(それが良いとか悪いとかの話ではない)。
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