Haru

燃ゆる女の肖像のHaruのレビュー・感想・評価

燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)
5.0
物語の筋も優れているのに加え、美的なカメラアングルが多用されつつそれを利用して『見る』『見られる』、美術界での描く側、描かれる側が皮肉を込めながらここまで具体的に表現されていて…息を呑まずにはいられなかった。素晴らしい作品。

公開前から話題だったのでめちゃくちゃ楽しみに行ったのだけれど、期待を裏切るどころか一回りも二回りも上回ってきた…

まず音楽の使い方が素晴らしい、物語の筋とぴったりハマっているし、さらに理解を高めてくれるような仕掛け。ショットが切れる瞬間も一見不自然なんだけど、後から考えるとすごいスッとくる魅せ方が多用されてる。

Subject/object問題に関しては、マリアンヌとエロイーズの視線の写し方もそうだし、(特に最後のロングショット!!)ふたりで画家とモデルとして絵を描いている時に、お互いの目線を確認する場面がめっちゃ良かった…対象物にも目線があるんだと、それをいつも権力をもった見る側にあえて見せるというのが、、最高だった。
1番簡単で難しい方法だと思うなぁ、あれが出来るエロイーズは強い。マリアンヌだから出来たのだとは思うけれど。

堕胎の描写、それをあえて絵にする場面、女性なのに男性の名前の画家、男性ばかりいるコレクター、全て昔の時代のことのように思えるけれど、強烈な現実批判として私は受け止めました。素晴らしい!!何回でも見たい!!!
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