このレビューはネタバレを含みます
「燃ゆる女の肖像」その題に惚れ、ずっと見たかったのでネタバレもあらすじも見ずに鑑賞した。
序盤の感触としてはフランス映画!!って感じで人によれば嫌いな人もいるだろうと感じた。
中盤から物語が進み始める。
エロイーズとマリアンヌの関係が肖像画、音楽、神話を通して構築されていく。
エロイーズが外界から疎遠だったところに、女性として経験を積んだマリアンヌが来た新鮮さ、容姿端麗な顔立ち、物知りな所が刺さって表情が柔らかくなっていく様がまた良い。カードゲームをやっている時は観ている側もカードゲームをプレイしているかのような本当に幸せな感情になった。
一方その最中、女中のソフィーはマリアンヌに助けられ、中絶を決意する。
このシーンも本当に良かった。女性の心の苦しさと身体の痛みが綺麗に表現されていた。施術している時隣に赤ちゃんがいて指を握るあの心の苦しさ、男性の経験することの無い身体の痛み。訴えてくるものがありました。
2枚目の肖像画を完成させ、ラストに近づく。
ここで印象的だったのが、晴れ姿のエロイーズと両者泣きながら嘘をつき合うシーン。2人とも登りつめた想いがありながらもこの関係の期限がすぐそこまで来ている。幸せな時間はそう長く続かない。そんな気持ちになりました。なんやこれ。
ラスト。
他のレビュアーの方が仰っていたのですが「君の名前で僕を呼んで」に似ていると私もずっと感じていました。でもこの綺麗すぎる伏線回収が堪らなかったです。
思い出を語るシーン、裸体画、28ページ、オルフェ、オーケストラ。
2人とも年月が経てども一歩も前に進めていなかった。そう感じさせられました。
いい映画体験。映画館で観れてよかった!