cham

名もなき生涯のchamのレビュー・感想・評価

名もなき生涯(2019年製作の映画)
4.6
第二次世界大戦中にナチスへの忠誠を拒み続け生涯を終えた農夫の声なき抵抗の日々が静かに綴られている。歴史に残らない悲劇が今こうやって映画になっている。
実話がもとになっているせいか、他のテレンス・マリック作品よりも表現がシンプルで、そのぶんじっくりと実際に存在したフランツの心の声に丁寧に耳を傾けているように感じた。
周りがどんどん拒むことが許されない空気に染まっていく中、たった一人でそれに従わず立ち向かうフランツ。
一人の農夫が拒んだところで戦争が終わるわけでもないし(実際もっとひどくなっていったし…)、
神を信じても神は裁きを下してくれないし助けてくれるわけでもない。それでも人間としての尊厳を失わないフランツさんに、神への信仰以上にこの世に生まれたものとしての強さを感じました。
奥さんが大地を耕し農作物を作りだすところで、シンレッドラインでも新芽が息吹いていたのを思い出した。誰かが死んでも関係なく大地は生を育んでいく。

今までそんなに多くの作品を作ってこなかった巨匠テレンス・マリックがここ数年どんどん作品を発表していることに深い意味を感じる。でっかいスクリーンで、映画館の音響で鑑賞したかったな~。


昨日書いたのを編集するつもりが削除してしまい書き直しました😭
cham

cham