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ブリット=マリーの幸せなひとりだちのjamのレビュー・感想・評価

3.8
誰かがドアをノックするたびに
あなただと思う

スヴェンの精一杯の告白で
自分の中から唐突にこみ上げてくる感情に驚かされて


結婚して40年
ブリット・マリーの日常は
夫ケントが日々快適に暮らすためにあった

習慣と日課で心が安らぐ
私の仕事は家を整えて美味しい夕食を作ること

けれど、ケントが心臓発作で倒れたことが
これまでの生活を根底から覆すことに

自分を見つめ直す
家を出て就けたのは
田舎のユースワーカー兼少年サッカーチームのコーチ


はじめは互いに相入れなかったチームの子どもたちと
意識を変えて行動していくことで次第に心を通い合わせて

彼女を見守り、支えるボリの人たち
なかでもバツイチの警官、スヴェンとのささやかな触れ合いは
少しの恐れと期待がブリット・マリーの胸中に湧き上がるのが伝わる


生意気盛りの子供たちの中心に位置するヴェガ
彼女の心の襞が透けて見える自然な演技に惹きつけられる


自分探し、困難を超えて何かを掴んでいくストーリーは
最近では目新しいものではないかもしれない

けれども
ブリット・マリーがボリで体験したものから考え、選択したラストに

あ、そっちにいったんだなぁ…と

過去の哀しい出来事から
自分の心に蓋をして決められたことをこなす日々
そうして保っていたバランスは
ほんとうに求めるものではなかったと


1日ずつよ 
自分にそう言い聞かせて
jam

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