ナンデヤネン

家族を想うときのナンデヤネンのレビュー・感想・評価

家族を想うとき(2019年製作の映画)
4.2
リッキーの家族を取り巻く経済的苦境は我々の日常生活にとっても隣り合わせですごく身近な問題である。独立ドライバーといっても車はレンタル料払って会社から借りるか自腹で買わなくてはならない。自分で代わりのドライバーを見つけない限り仕事を休めない。何かにつけて課せられる罰金。これってホンマにフランチャイズなの?って思ってしまう。委託主である集配所のマロニーがとんだ胸糞野郎でこういう上司ってどこにでも現実にいるもんだ。
家族関係がギクシャクし始めると状況打開のためにお金儲けしようと一生懸命仕事に励むんだけど余計に家族がバラバラになってしまうという悪循環。リッキー本人は家族のために良かれと思ってやっているだけに見てて余計に辛い。リッキーが居眠り運転してる場面では「事故らないでくれ〜。」とつい呟いてしまった。ハンドルを握るリッキーの涙。頭を抱えて悲嘆に暮れる家族。我が身の如く身に染みる。その後、家族はどうなったのだろう。それを考えると暗澹たる気持ちになる。
「あれ?そこで終わりなの?」と一瞬思ったが結果的にこの方がじわーっと引きずってしまう。日常生活の身近な問題をケン・ローチは見事に社会性のあるエンターテイメント作品に昇華させている。個人的に「わたしは、ダニエル・ブレイク」よりもこっちの方がが好き。心に強く突き刺さった。
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