Tetsu3

家族を想うときのTetsu3のレビュー・感想・評価

家族を想うとき(2019年製作の映画)
5.0
初めての社会派ケン・ローチ監督作品。83歳になるケン・ローチが引退を延期して撮ったという。今のイギリスでは珍しくはないようなのだがホントに切ない内容だった。
リーマンショックか何かで職も家も失い借金を背負い、夫は個人事業主制フランチャイズの宅配便ドライバー、妻は訪問介護で二人とも朝から夜まで働きづめ。昔は仲睦まじかった家族四人が崩壊寸前になっている。今のイギリスの雇用問題を表しているようだが、将来の日本を見るようでもある。余裕のない貧乏はロクなことが無い。
会話、表情が自然で、家族が本当の家族のように見える。ケン・ローチの演出の素晴らしさに初めて触れた。
映画では、重傷を負いながらも家族のために仕事に向かおうとする父を想う家族がかろうじて繋がっていることを思わせる場面で終わるのだが、その先に安らぎの時が来ることを願わずにいられなかった。良い映画を観た。
Tetsu3

Tetsu3