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リトル・ジョーの順のレビュー・感想・評価

リトル・ジョー(2019年製作の映画)
3.9
抑鬱と幸福を目的に開発中の植物「リトル・ジョー」をめぐる不気味な怪作。色彩のデザインが印象的。
リトル・ジョーの花粉に脳への悪影響が疑われる。それに「感染」してもむしろハッピーになってしまうだけで外見に表れないので悪影響の真偽は判断できないなか、主人公の周囲では明らかに人格の変化が見られる。その対象は不特定多数でなく主人公の家族や同僚に留まるため、パニックも起きるはずなく静かに感染が拡大するばかり。その過程がぞわぞわと不気味に描かれる。ドラマティックな展開なしに。
劇伴には伊藤貞司の音楽を採用していて和太鼓や琴、笙による雅楽サウンドが畏怖を煽る。恐怖映画におけるジャポニスム。エンドロール曲も作品の余韻を楽しむのに相応しい。
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