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マティアス&マキシムのcardamonのレビュー・感想・評価

マティアス&マキシム(2019年製作の映画)
3.6
意識下にしまっておいた感情が、何かをきっかけに噴き出す事はあると思う。身近に接している存在だけに、それが日を追う毎に心の中で肥大して行く状況はかなりキツい。

そんな感情の揺れの表現が上手い。
ひょんな事でキスをする羽目になった幼馴染みのマットとマキシムだが、長年封印していた感情が蘇る。その後のマットの心の葛藤が手に取る様に分かる。例えば、マックスへの湧き上がる感情を排除しようと、ひたすら湖で泳ぎ続け、迷子になってしまう。共感しつつも笑ってしまった。一方のマックスはひたむきだ。でも彼は丁度このタイミングでオーストラリアに旅立つ事で、気持ちにけりをつけようとしているのだとも感じた。

グザヴィエ・ドラン作品は「たかが世界の終わり」に続く2本目。前作の重さが未だに心にのしかかっているが、本作は爽やかな余韻が残る。
遅ればせながら、ドラン監督は若手ながら凄い才能の持ち主である事を知った。
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