あさ

マティアス&マキシムのあさのレビュー・感想・評価

マティアス&マキシム(2019年製作の映画)
3.6
「ドランが帰ってきた」
と評されているらしき今作。正直私も帰ってきたと思ってしまった。

第七芸術としての映画。ドラン様の映画はやっぱり映像も音楽も会話も、組み合わさる芸術のひとつひとつにスタイルがあって好き。

前回の『ジョンFドノヴァン』があまりにも異風に感じたのは、4年もの歳月をかけてじっくり手掛けられ、かつ英語、かつめちゃくちゃドランのパーソナルな体験をコア〜に描いてたから刺さる層が狭くなったのかとか、見終わってから色々思うのですが。(早いところもう一回見直したい。)

フランス語で怒りをグワ〜ッとぶつけ合い、意味のないような会話が目にも止まらぬ速さで合戦される。コレ。私の好きなやつ。母と子の大喧嘩も。それぞれの作品が違うけれど、一貫するテーマや撮り方(ズームとかフラッシュとか)が多いから改めて見直したいな〜と。(2回目)これを見るまでに予習するつもりだったのだけど。

マティアスがキスをした後に泳ぎに行くシーンが個人的には印象的で、水泡がまるで沸騰しているみたいだった。青と赤。燃え上がるようなキスシーンは自然と涙が溢れてしまう。不思議だよ。どうして心がぐっと動かされるんだろう。

監督自身が30歳を迎えることで、映画も大人になっていくなっていう謎の感情を抱いた。マイマザーや胸騒ぎをはじめて見たときの稲妻が走るような感覚とは少し違うけれど、今後もこの人の映画を見ていたいなと思うし、今までの作品ももう少し掘り下げたいなと思う。思うのよお。
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