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マティアス&マキシムのででんのネタバレレビュー・内容・結末

マティアス&マキシム(2019年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

役者やってるドラン監督がもっともっと観たい…!
演技もすごく好きだった。

『僕にとってこれはゲイについてではなく、人生についての映画なんだ。
例えば、ヘテロセクシュアルの映画についてそれを問題にしたりしないよね。「ヘテロセクシュアルの素晴らしい映画を見たよ」なんてあえて言わない。
これはただのラブストーリーなんだ。』
っていうドラン監督のコメントから、ずっと楽しみにしてた作品。

エリカの存在とか、ドラン監督…大人になった…!と謎の目線で思ってしまった。
終わり方も、人生って続くものだよね…と思わされる潔さ。

恋のことだけじゃなくて、幼なじみから大人になって、それぞれ違うコミュニティができはじめるとか、違う人生が展開し始める切なさとか、そういうものも人生のリアルに感じた。

今っぽい、今の時代の記録映画な気がした。エリカの世代と、若い弁護士の世代。若い弁護士の存在感、すごくよかった。魅力的なエリートで、マティアスのいる社会の、現代のホモソーシャル感を代表している。ゴリゴリのマッチョでもないけど、なんとなくLGBTQの感覚もあるのかもだけど、やっぱりすごく素直で単純なホモソーシャルに生きるノンケというか。

見てる人を見るのが好きなので、構成も大好きだった。恋するマティアスが目で追うマキシム。車の走る道路の画もある。

好きなシーン:
バスで知らない青年にジッと見られるマキシム。頭から血が流れる…
居心地の悪さがよかった。あの青年はマキシムのことイイナって思ってたろうけど、それふくめ注目を集めてしまう自分の顔、自分のアザに対するストレス。
嘘でも、アザなんて無いよと言ってほしいと思う。なにも気にしないように振る舞って生活して、気の知れた仲間たちといるけど、心にずっと見ないようにしてるモヤがある。「アザ野郎」のセリフは残酷すぎる。

マティアスがマキシムのこと好きなのはよくわかった。彼女も気付いてると思う。高校の頃のキスを無かったことにしたがったり。推薦状を渡さなかったり。
でも、マキシムがマティアスのこと好きなのかはよくわからなかった。マキシムはとにかく、愛に飢えてそうな人。
母の愛も素直に得られず(母はきっと、アザのない、体格の立派な弟を愛するのだろう…とマキシムが思っちゃうような写りかたした写真が、切なすぎる)、恋人もいない。自分を愛してくれる人が好き、になりそうな危なっかしい振る舞い。
毎日ちょっとずつちょっとずつずっと傷つき続けてて、誰か抱きしめてあげてー!となる。

子どもの頃の絵が"farm"なのも気になりどころで、トムアットザファームが大好きな私は、ちょっと、共依存になってしまいそうな暗喩にも思えてしまった。

最後のシーン、来てくれてよかった!のか、幻なのか、判別できないのもずるい。
2人はこのまま、距離を取る方がいいのだろうか。。。

めっちゃ長くしゃべってしまった…笑
やっぱりドラン監督の表現者としての強さにグッときてしまう
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