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シチリアーノ 裏切りの美学のpherimのレビュー・感想・評価

4.0
コーザノストラ初にして最大の改悛者ブシェッタの格闘描く実録物秀作。牢獄化した異様な大法廷と、仁義なき抗争との並行展開は手に汗握る。

ゴッドファーザーなど多くのマフィア映画がモチーフとしてきたファルコーネ判事暗殺の再現場面は、全ての過去作を凌ぐ衝撃。



“『甘き人生』他のマルコ・ベロッキオ新作”という期待値からはやや意外感ある味わい。とはいえ個人の道行き描く良ドラマの背景にイタリア現代史を響かせる周到さにおいてその名匠ぶりはしかと健在。

この意味では前作『甘き人生』での主人公へ向けた神父の言葉「星も人も、存在はみな光なのだ」(https://twitter.com/pherim/status/884673199794814976)を想起すると、史実ベースでマフィア描く娯楽作の体裁ながら『シチリアーノ 裏切りの美学』で言外に表現される「美学」の内実は、ことのほか豊かなことが感覚される。
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