明治時代。
過酷な状況の中、製糸工場で働く少女たちの物語。
貧しい家の少女たちは、身を売られるのと同然に出稼ぎに出される。
口減らし。
そんなに経済的に苦しいなら、何人も何人も子供作るなよ、父ちゃん、母ちゃん。
長男、長女はいい迷惑だ。
それでも素直な子供達は、父や母、弟妹のために身を粉にして働く。
低賃金の長時間労働。
劣悪環境。
雇い主や指導者は鬼だ。
少しでも気を抜いたり、意見を言うと殴られる。
いや、何もしなくても殴られる。
パワハラの極致だ。
それでも少女たちは死にもの狂いで働く。
ホントに死んだりもする。
何人死んだんだろう。
人の命を何だと思ってるのか。
いや、人だとは思ってない。
「お前らは機械だ」と言い放つ指導者。
指導になってない。
何度も言うがパワハラの極致だ。
もう、殺人だ。
配役が素晴しい。
大竹しのぶを始めに、原田美枝子、古手川祐子、友里千賀子、岡本茉利らが演じた個性ある新人工員たち。
純朴な少女たちのそれぞれの運命を感情豊かに表現している。
特に大竹しのぶの健気な姿が愛おしい。
家族のため、友のため、必死で生きた彼女の若い魂に胸を打たれた。
悲しみのラスト。
これはきっと号泣間違いなしだろうと集中したが、突然、先日観た『黒い家』を思い出した。
蘇った「乳、しゃぶれー!」の “サイコパスしのぶ”。
あゝ無念。
怖くてやっぱり泣けなかった…。
教訓/『あゝ野麦峠』の前に『黒い家』を観てはいけない。