さりさり

あゝ野麦峠のさりさりのレビュー・感想・評価

あゝ野麦峠(1979年製作の映画)
4.0
明治時代。
過酷な状況の中、製糸工場で働く少女たちの物語。

貧しい家の少女たちは、身を売られるのと同然に出稼ぎに出される。
口減らし。
そんなに経済的に苦しいなら、何人も何人も子供作るなよ、父ちゃん、母ちゃん。
長男、長女はいい迷惑だ。
それでも素直な子供達は、父や母、弟妹のために身を粉にして働く。

低賃金の長時間労働。
劣悪環境。
雇い主や指導者は鬼だ。
少しでも気を抜いたり、意見を言うと殴られる。
いや、何もしなくても殴られる。
パワハラの極致だ。

それでも少女たちは死にもの狂いで働く。
ホントに死んだりもする。
何人死んだんだろう。
人の命を何だと思ってるのか。
いや、人だとは思ってない。
「お前らは機械だ」と言い放つ指導者。
指導になってない。
何度も言うがパワハラの極致だ。
もう、殺人だ。

配役が素晴しい。
大竹しのぶを始めに、原田美枝子、古手川祐子、友里千賀子、岡本茉利らが演じた個性ある新人工員たち。
純朴な少女たちのそれぞれの運命を感情豊かに表現している。
特に大竹しのぶの健気な姿が愛おしい。
家族のため、友のため、必死で生きた彼女の若い魂に胸を打たれた。

悲しみのラスト。
これはきっと号泣間違いなしだろうと集中したが、突然、先日観た『黒い家』を思い出した。
蘇った「乳、しゃぶれー!」の “サイコパスしのぶ”。
あゝ無念。
怖くてやっぱり泣けなかった…。


教訓/『あゝ野麦峠』の前に『黒い家』を観てはいけない。
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