サジー･シーリー監督によるアメリカの中華街を舞台としたコメディー作品です。テレビドラマや短編映画で実績を積み、本作で長編デビューとなりました。昨年はルル・ワン監督の『フェアウェル』（2019年）がやはり中国人家庭を描いたアメリカ映画として公開されましたが、アメリカの中国映画は増えてますよね、最近。

舞台はニューヨークの中華街。夫を最近亡くして、80歳の誕生日を迎えた「おばあちゃん」（ツァイ・チン）が主人公。長男家族からは一緒に暮らそうと誘われるのですが、自立した生活を送りたい。ある日、占い師に相談に行ったら「ものすごい幸運な日」だとお告げを受ける。早速、カジノに行くのですが負けてしまう。カジノからのバス車内。隣に座った男の荷物が落ちてくる。その中には大量の現金が。そして、その隣の男は静かに息を引き取っていました。果たして、おばあちゃんの「幸運」とは？と言う話です。

面白いのが、ニューヨークが舞台なのに中国にしか見えないこと。英語での会話もたまにあるのですが、セリフのほとんどは中国語。そして、登場人物もほとんど中国人。これはルル・ワン監督『フェアウェル』（2019年）も同じでしたね。描かれているのがニューヨークの中国人コミュニティーなのですが、あらゆることがコミュニティーの中で処理されます。何かあっても警察に行かない。この閉じたコミュニティーで起きる事件だから面白いんですね。

会話がすっごく中国人（上海人）っぽいと思いました。いい意味で。すごく切り返しがうまくて早い。おばあちゃんがボディーガードのポンに責められる場面があるのですが、あの切り返しはすごく中国人っぽい。全然論理的じゃないんだけど、なるほどと思わせてしまう。アメリカ人や日本人ではない。そして、その中国人らしさに「幸運」のキーワードが隠されている。そこが上手いと思いました。

主役を演じるツァイ・チンは『怪人フー・マンチュー』（1965年）でフー・マンチューの妹を演じた長いキャリアを誇るハリウッド女優です。『007は二度死ぬ』と『007 カジノ・ロワイヤル』にも出演していますね。『フェアウェル』のオークワフィナもそうですが、中華系のハリウッド人材は豊富ですよね。まあ、そうじゃないと中国映画をアメリカでなんて作れない。わざわざ中国の俳優をアメリカに呼べないもん。監督から役者までアメリカ現地で調達できる。その層の厚さがすごいなあ。

• #ツァイ・チン

キャッチーな導入は開始20分だけでいい。
より大きな問題にスムーズにスライドする。
宮本信子主演でNHKの深夜のドラマでやってそうな話。

• #一見の価値あり

コメディと言うには物足りない、でもアクションと言い切るには、、なんか足りない。無理矢理感あるな〜と感じるところもあり、あまり入って来ず、、