メアリー・ハロンなのでフェミニズム的視点から描かれており、事件後に収監されたマンソンガールズと、対面する犯罪者のケアをする女性の物語。
チャールズ・マンソンは無能なナルシストなのに、なぜ彼らはあのファミリーに居場所を見出してしまったのか。レコード会社の人が会いに来るとわかったときの、マンソンのはしゃぎっぷり。それが叶わなかったゆえに起こる殺人事件。その合間合間にも、男性優位主義の徹底ぶりが描かれ、女性たちはそれが正しいことを自分たちに言い聞かせて、洗脳を深めていく。他人から観たらバカみたいな、ビートルズの歌詞から世界の終末を予言するマンソンの言葉を、信じてしまう若者たちが不思議に思えるが、実際にそういうことは少なくないのだから、洗脳の解き方は研究されるべきだと思う。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』と双子のような作品であり、ラストもじつは一緒の構成で驚く。「もしもあのとき」を描いてあげないと、悲しすぎるテーマなのだろう。