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エターナルズのEDDIEのレビュー・感想・評価

エターナルズ(2021年製作の映画)
4.6
MCUに新たな風を吹き込む最強ヒーローたち爆誕。いや紀元前からいた。
冒頭の戦闘シーンで各キャラの能力を把握させ、ドラマパートで個性を発揮。156分の長尺が必要だったと納得させるクロエ・ジャオの手腕に脱帽せざるを得ない。控えめに言って最高。

さて、MCUも『ブラックウィドウ』『シャンチー』とフェーズ4に移って2作品が公開されましたが、かつてのような熱は少し冷めてしまっていました。

そこで公開されたのがこの『エターナルズ』です。
フェーズ4では間違いなく一番気持ちがアガりました。
今回はIMAXで観賞しましたが、次は吹替で2回目観に行きたいなと考えています。

なんといっても宇宙や人類の起源にも立ち入った壮大な物語であるにも関わらず、逆にこれを1本の映画に収めたって凄いですよ。
しかもエターナルズの面々は10人います。

並の作り方ではキャラクターそれぞれの個性がぶつかり合うか、目立つキャラとそうでもないキャラが入り乱れてしまうと思うんです。
それが10人全員に見せ場があり、しかもそれが自然に演出されていて、とにかくみんながみんな魅力的なんですよ。

一応ジャンマ・チェン演じるセルシとリチャード・マッデン演じるイカリスの2人が物語上の主人公的役割なんです。
だからドラマパートとしてはこの2人とリア・マクヒュー演じるスプライトの3人に焦点が当てられています。

しかし一方で、今回の出演者の中で一際知名度の高いアンジェリーナ・ジョリー演じるセナを筆頭に、みんながみんな活躍するメインパートが用意されてるんです。
能力も戦闘向きなキャラから補助的なキャラまで幅広いにも関わらず、それぞれが自分の物語を持っています。
いやはや、クロエ・ジャオ監督の手腕は素晴らしいですよ。
ご自身がアニメや漫画好きだと公表している通り、待望のアメコミヒーローを主役にした監督抜擢だったわけです。

ただ彼女がこれまで撮ってきた作品といえば『ザ・ライダー』や『ノマドランド』のように社会問題を背景にしつつ、それをドキュメンタリー風に描くリアル路線な作品です。
スーパーヒーローをカッコよく魅せるMCU作品において、彼女の作家性が邪魔になるのではないか?という心配は杞憂に終わったわけです。

しかもまぁまぁ面白いとかではなく、めちゃくちゃ面白かった!少し惰性で観ていたMCUの続きが俄然楽しみになってしまいました。
エンドクレジットまで含め、最高に次回作以降にワクワクします。

さらに嬉しい誤算だったのが、ギャグパートのセンスの高さ。
これまでMCUは真面目にヒーローの使命を描きながらも、所々アメリカンなジョークを挟み込み笑いを誘ってきました。
それは本作でも健在。

マ・ドンソク演じるギルガメッシュのキャラ設定なんかもう反則だってぐらい面白いし、ブライアン・タイリー・ヘンリー演じるファストスに会いに行くパートでのヴィブラニウムとかIKEAのくだりは爆笑しました。
ほかにも笑いどころは沢山あって、それもおかわりしたいところです。

あとは『ビッグ・シック』やドラマ『シリコンバレー』で知名度が上がったパキスタン人俳優クメイル・ナンジアニ演じるキンゴも最高でした。
軽口のボリウッドスター的なキャラ設定に、彼の付き人のおじさんもナイスキャラで彼らが映っているシーンは全部好き。
しかもこのキンゴが意外に強くて、戦闘力でいったらエターナルズの中でも上位ではないでしょうか。『幽☆遊☆白書』が大好きだというクロエ・ジャオ監督のこだわりが彼の能力でも上手く活かされていました。

ほかにもローレン・リドリフ演じる超高速移動のできるマッカリも可愛らしくて魅力的だったし、『聖なる鹿殺し』のバリー・コーガン演じるドルイグは同作で汚いスパゲティの食べ方で映画ファンにはお馴染みなわけですが、本作でもやたらお菓子とかを食べている描写が挟まれます。
本当は各キャラを掘り下げたいところですが長くなってしまうのでここいらで我慢します。

あとはとにかく映像美が素晴らしい。
キャラの背景で神々しく輝く太陽がとても印象的で、しかもその太陽が終盤に活きてきます。
言い忘れたけど、私冒頭からなぜかめちゃくちゃ泣いていました。終盤も泣きました。
MCU観ながら泣いたのはエンドゲーム以来です。最高でした。

とにかく遂に気持ちが前のめりになるぐらいワクワクしたMCUのフェーズ4作品。
気持ちも冷めやらぬ中なので、近いうちに2度目観賞もしてこようと思います!

※2021年新作映画168本目
※IMAXにて
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