WW2のスロバキアで、ホロコーストを逃げ延びたユダヤ人青年のお話。
「ヨーロッパヨーロッパ」「ふたつの名前を持つ少年」この手のサバイバルものはいくつかあるけど、これはそのスロバキア版。
ドイツ占領下ではなく、親独政権のもと、国民を守るはずの自国の警察・軍隊によってホロコーストが進められたという状況を描いている。
危険が迫っていることはわかっているけどそう簡単にいまの生活をすてられないことや、シオニストたちはそうそうにパレスチナにわたり始めていたり、むしろ、強制収容所にはいることで仕事にありつこうとしていたことだったり、日常的なユダヤ人差別なんかに触れながら展開する。
ユダヤ人がいなくなったあとに、非ユダヤ人が占拠しているくだりは、あちこちの映画で見るから慣れてるけど、実際、かなりひどい話。
ポーランドに移送する準備段階としての強制収容所なので、リストに載るか載らないかが重要だったみたい。中抜けもできた屋外作業など、反ユダヤ主義には変わりなくても、ほかの国と少し違った、処遇が面白い。
この映画がすばらしいのは、
・赤色パルチザン内にあったユダヤ人差別
・ユダヤ人だけどカトリックという人物造形
このあたりを描いたところ。
以下はググったことをメモ。
・スロバキア共和国の首相はヨゼフ・ティソ
・ティソはカトリックの司祭も兼ねている(バチカンのローマ教皇のお気に入り)
・反ユダヤ主義は宗教的な理由という側面も
・SSを真似た「フリンカ警備隊(フリンカ兵とも)」「スロバキア親衛隊」で、ホロコーストを推し進めた。
・ユダヤ人の85%をポーランドに送った。
・スロバキア内に絶滅収容所はなかった。
Amazon primeのジャケからは想像もつかない、まっとうなホロコーストもので見応えがすごかったです。
面白かった!