キットカットガール

イン・アニメートのキットカットガールのレビュー・感想・評価

イン・アニメート(2018年製作の映画)
3.7
美術面もコンテンツ面もどちらも自分の嗜好に合っていた。
昔の人形劇みたいで哀愁漂う。
ぎこちない動きだったり、人形の質感だったり、素朴な作りが素敵だった。吸い込まれるように背景が消えて行ったり、瞬時に場面が転換される箇所は美しすぎてグッと来た。ストップモーションらしさが残っているから良かったのかもしれない。
又、哲学と心理学を用いたストーリーも面白かった。自分は人形なのだと疑いを持った瞬間から全てのものが偽りに見え、消え、自己をも喪失してしまう。「物事に対し常に懐疑的であって下さい」と教授に言われた事を思い出した。自分が物体として存在していて、アイデンティティーを持っていて、人間であるだなんて、実際考えてみれば100%決めつけられない。自分を認知してくれる周囲の人間がそもそも偽りだったら、自分自身も偽りになってしまう。脳だって信用出来ないし.......笑と、本作を観ていたらこんな屁理屈めいた余談が止まらなくなったので一旦カット。



とはいえ、敢えて人形を動かす人間の手や姿をアニメーションに取り入れたのはとても斬新で、画期的に思えた(『KUBO クボ』よりも大胆だった)。