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プライベート・ライアンのNoirのレビュー・感想・評価

プライベート・ライアン(1998年製作の映画)
4.0
”生きる“という呪い。

1944年6月、アメリカ軍はノルマンディー上陸作戦を成功させるも、多くの死傷者を出してしまう。

そんな中、レンジャー部隊のミラー大尉に本部からある命令が下る。

第二次世界大戦時、たった1人の兵士を救出に向かう兵士たちの死闘を描いた戦争映画。

冒頭20分にも及ぶ緊迫の戦闘シーンはあまりに残酷、まるでドキュメンタリーのように生々しい。

本国へ帰還するよう命じられたライアンは、特別な力をもたないただの二等兵ではあるが、それこそが映画の大きなポイントになっている。

見ず知らずの兵士を送還させるなど、ミラー大尉をはじめ多くの兵士が不服に感じたはず。

そいつは犠牲を払ってでも救出するに値する男なのか、その辺りの葛藤もしっかり描かれている。

冒頭とラストに晩年のライアンが登場するが、墓の前で泣き崩れる彼の姿に思わず涙。

帰還後、結婚して子どもを育て、そして家族が増えた自分は、ミラー大尉が望んだ生き方ができたのか...。

それはまるで生涯かけられた呪いのように思えてならなかった。
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