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プライベート・ライアンのこのレビュー・感想・評価

プライベート・ライアン(1998年製作の映画)
5.0
【カナザワ映画祭2016四十七本目】
初鑑賞が劇場でしかも爆音というこの上ない贅沢。『プライベート・ライアン』の登場以前と以後で戦争映画の歴史が変わったとよく言われるけど、その意味をまさに体で感じた。前日の『ロッキー・ホラー・ショー』の圧倒的な多幸感からいきなり戦場の地獄にぶち込まれる。えげつない人体破壊がある上に凶悪なギャグも所々に入ってるので本当にスピルバーグって本当にタチが悪い。例えば銃弾から頭を守るための鉄の帽子(正式な名前はなんて言うんだろう?)をみんなかぶってるんだけど、それのおかげで弾が頭に当たったけど帽子へこんだだけで済んだ兵士がその帽子を取って「運が良かったぜ」と言った瞬間額に銃弾直撃で即死とか。あと新米兵士のアパムの存在。戦争映画ってたいていが観客と限りなく立場が同じな新米の兵士が登場して、観客はそいつの視点で戦場を体験する、ってことが多いと思うけど、他のみんなが必死こいて戦う中、アパムは途中で怖気づいて銃弾を仲間に届けないのに首に無駄に巻きつけたまま泣いて動けなくなってしまう。それまでずーっと観てる我々はそんなアパムにいらっとすると思うんだけど、「でもお前ら実際に戦場に行ったらアパムみたいにベソかいて動けなくなるだろ?」みたいなスピルバーグの声が聞こえ聞こえてくる。

とにかく凄絶な人体破壊と爆発満載のこの映画で一貫して感じられるのは、戦争はクソだってこと。ただそれだけだ。
こ