七沖

プライベート・ライアンの七沖のレビュー・感想・評価

プライベート・ライアン(1998年製作の映画)
4.7
〝選ばれた精鋭は8人ーー。彼らに与えられた使命は、若きライアン2等兵を救出する事だった…〟

キャッチコピー通りのストーリー。第二次世界大戦下、兄弟がみな戦死し、残された最後の一人ライアン二等兵を無事に戦地から帰るため、史上最大の作戦を生き残ったミラー大尉ら精鋭が命がけで敵地に捜索に出る…というストーリー。

この映画が劇場公開された時、自分はまだ中学生だった。
冒頭のノルマンディー上陸作戦の凄惨さを目の当たりにして、自然と涙が溢れてきたのを今でもよく覚えている。「何で人は殺し合うんだろう。何で戦争するんだろう」と純粋に思った。
大の男たちがみんな「お母さん、お母さん」と言いながら息絶えていく様は、まだ100年も経っていない近代の出来事だとは思えない…。
自分はあの戦争を知らない世代だ。そんな自分すら思わず泣いてしまう冒頭30分は、今後の映画史に残り続けるに違いないストレートな反戦描写だ。

たった一人の若造(ライアン二等兵)を救うために、俺たちが命を賭ける意味とは?
そんな当然の疑問を抱く部下たちを率いて黙々と任務に従うミラー大尉。演じるトム・ハンクスの些細な表情から、彼のやるせなさが滲み出る。
ラストの対戦車の市街戦は、冒頭の上陸作戦とはことなる凄絶さ。
敵に情けをかけたからこそ起きた悲劇。どうして同じ人間同士なのに、国や主義が違うだけでこんなことになってしまうのか…。

最後のオチでは、また自然と涙が頬を伝った。
どうして戦争はいけないことなのか?
その答えは、本作を見れば自然と分かる。
七沖

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