冒頭の妙にホラーチックな演出がピーク。その後おっさんが一人変態行為に耽るシーンで一気に誰得映画と化す…。エロVシネなんでもうちょい映像にフェチシズムを感じさせてほしい。

ストーカーという下衆な行為の中にある楽しさ、刺激をこれほどまでにダイレクトに伝える作品はないと思う。尾行するときのスリリングさ、人の部屋に無断で入るときの見てはいけないものを見た喜びと誰か来るかもしれないという緊張感。ストーカー経験のない人でもこれに近い体験をした人は多いはずで、そうした人の奥に隠された欲望を巧みに突いてくる。一応エロVシネのためエロシーンは幾つか用意されているが、ストーカーシーンの興奮に負けているため本来の目的から大きく外れる事態になっているが。

ヒロインの秦を彼女を愛しながらも袖にされていてる長曽我部がつけ回し、それを鍵屋(裏でヒロインの部屋に男を入れて欲望を満たさせている)が尾行するシーンのスリリングさとサスペンスが入り交じったシーンが最高で、同時に一方的な愛しか交わせない現代人の闇を浮かび上がらせる。

でも一番凄いのは劇中でのストーカー行為を現実では無いからと下衆な楽しみかたをしている偽善的な我々に水を指すようなラスト。90年代テイストの作風が決まりまくっている。

よく鍵を失くすガソスタ店員とその子を好きな女友達と変態に部屋物色を斡旋する鍵屋の兄ちゃんの三角関係
中盤から狂気がどんどん深みを増していくのは見応えあった。
最後の方で鍵屋の兄ちゃんが真面目に言うセリフが完全に志村けんでこの点数です。