かわらい

フリー・ガイのかわらいのネタバレレビュー・内容・結末

フリー・ガイ(2021年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

日常のありがたさ、誰のものでもない自分の人生を豊かに、というテーマではすごくまとまった内容だったように感じる。それだけでなく、ゲーム事情にも様々リアリティを感じた。大きめのゲーム会社が安パイの爽快感を売りにしたゲームを出したり、評価の代わりに数字が得られるハイパーカジュアルの要素が入っていたり(作中での「3年続けているけど〜」というセリフは、ストリーマーが3年間も続けているのが珍しいジャンルのゲームであるということ)。対して近年注目の集まっているインディーズのゲームは斬新な設定やジャンルで新しい可能性を広げていきやすいのもあり納得がいった。最近は命の重さをテーマにするゲームが多いので序盤の『ヒーロー』の違和感からラストの展開が気持ちよかった。

バディがサングラスを差し出され泣き出すところ、習慣化することは考えることを放棄する、ないしは脳を麻痺させるということなのかなあと。

クライマックスの鍵をそのままオチの伏線回収に持っていくのは流石。

演出が随一。ゲームの中を撮影するときでさえクォータービューの様に撮ったり細かいところのこだわりを感じた


でも2つだけ思ったところをば。
・アントワンの間抜けさに全ての要因を割き過ぎに感じてしまった。キーズが「アントワンはバカじゃない」的なことを言っていたし…。でも思えば、ゲームのバグを放置してでも次回作に力を入れ、次回作が出たら一作目はサービス終了という方針を打ち立てたり、あまりユーザーや先のことを考えないタイプという描写はあったか…?

・キーズ≒ガイとしているならキーズの友人の黒人男性(調べても名前がわからず…)が現実世界でのバディの役割でもよかったのかなぁと。恐らく少しは意識しているのだけれど(バディの「ルイージだよ。名前を覚えないからこうなるんだ。」という台詞と、友人からアントワンへ「名前で呼び合う仲か」という台詞の対応等)。
具体的には現実世界でも背景として、モブキャラのようにアントワンの部下として働いている中で、『友人を助けることでリアルを感じる』、『空想の人物であるブルー・シャツ・ガイに感化された現実の人間』と言う役にしてあげてほしかったかなー。バディが消えてしまった後に名もない警備員が「あれこそが警備員の鑑!」的なことを言うので尚更その仕事を任せてあげてほしくて…。
その上キーズは技術が盗まれていることを話していなさそうだし(盗んだということが分かってからはアントワンと敵対する)、そもそも友人というより職場の同僚という感じなのに最後はサーバー増員を任せていたり関係性がよくわからない……。彼も会社をクビになって、キーズに拾ってもらったって話…?

気になったところばかり多く書いてしまったけれど、とても良い映画でした…。