MasaichiYaguchi

踊ってミタのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

踊ってミタ(2020年製作の映画)
3.7
飯塚俊光監督と岡山天音さんの3度目のタッグとなる本作では、夢に挫折した登場人物たちが「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損々」ではないが、踊りを通して再起し、前を向いていく姿を、時に可笑しく、時に切なく、そして胸熱に描いていく。
本作では、名物といえば干し芋ぐらいで観光名所も無く、過疎化が進む地方都市を舞台に、都内の広告代理店から都落ちして地元の役場に勤める主人公・三田が、町長から「町興し」の命令を下されたことによって奮闘する様子が繰り広げられる。
センスゼロな三田が「町興し」の起爆剤として思いついたのがPR動画なのだが、普通の観光PRではアピールが低いということで、町民参加の「踊ってみた」動画が制作されることになる。
「踊ってみた」はニコニコ動画の人気コンテンツだが、映画のタイトルが「みた」ではなく「ミタ」になっている訳は、映画の後半から終盤の展開で紐解かれる。
主人公が動画制作用の踊り手を募集したところ、エントリーしてきた人々が如何にもという感じなのだが、そんな性別、年代もバラバラで個性豊かな彼らのボーカロイドによる楽曲でのパフォーマンスは観ていて楽しい!
この「町興し」と「踊ってみた」が融合した本作では、踊りばかりだけでなく、映像作家に成り損ねたミタをはじめとして夢破れた登場人物たちの人間ドラマが描かれる。
終盤で山場となるイベントが繰り広げられるが、主要キャストたちのダンスパフォーマンスが躍動していて、思わず観ている方もリズムを取りたくなる。
「人間到る処青山あり」と言うけれど、本作を観ているとどの様な場所であってもポジティブに生きることの大切さが伝わってきます。