とらキチ

ジョーンの秘密のとらキチのレビュー・感想・評価

ジョーンの秘密(2018年製作の映画)
2.8
劇場公開時鑑賞しましたがCSにて再鑑賞再レビュー。
「アナザー・カントリー」に続いての、戦間戦後の時期に英国の多くのインテリが共産主義にカブれて、それこそソ連を「我が心の祖国」とか言っちゃってたようなイタい時代をテーマにした作品。
2000年。イギリスで半世紀前、旧・ソ連のKGBに核開発の機密を流していたスパイがMI5に逮捕される。その人物は、ジョーン・スタンリーという、どこにでもいるような80代の老女だった。ジョーンの息子で弁護士のニックは、無罪を主張する母親を信じて彼女の弁護を担当することになる。しかし、そんな彼の思いとは裏腹に、ジョーンの驚くべき過去が次々と明らかになっていく。
観ていてとても腹立たしかった作品。結局は“色恋”に帰結するクセに、“抑止力の均衡のため”とか言って祖国を裏切る。さらにそのきっかけが“ヒロシマ”だったというのが、日本人として非常に許し難い。彼女は声明で「世界平和のためにした。東西で原爆を持てば、どちらも使えない。現に50年間、何事も起きていない。平和が保たれているのは自分のおかげ」と言うのだが、何を寝ぼけた事を言っているのか。現在まで果てしなく続いている“核の拡散及び軍拡競争”、そして“キューバ危機”等で“エスカレーション”寸前までいった現実をどんな気持ちで見ていたのか。いくらジュディ・デンチが演じていたとしても、やはり許せないし、コレは彼女の無駄遣い。ちなみに“ジョーン”のモデルとなった実在の人物メリタ・ノーウッドはバリバリの“アカ”だったらしいですが。
あくまで“母親”としての彼女を救おうと奔走していた息子ニックの存在、想いだけが、今作唯一の救いの部分だったのかもしれない。
とらキチ

とらキチ