しん

朝が来るのしんのレビュー・感想・評価

朝が来る(2020年製作の映画)
3.9
大変素晴らしい作品でした。素晴らしい点はいくつも挙げられるのですが、3つに絞って以下列記します。

1 物語の丁寧かつ繊細な書き込み
少し時間が長くなることを承知の上で、各パートを丁寧かつ繊細に描いていたことが素晴らしかったです。
養子縁組の説明会、不妊治療に悩む描写、産みの親の来歴、そしてラスト。どこをとっても重要で、物語の核になる部分なのですが、それをしっかりと描ききっており、「ここがもっと描かれていたらな」という感想を持つ部分がありませんでした。この時点で高評価をすべきことは確信しました。

2 主題歌と物語のシンクロ
主題歌自体を物語に合わせることは映画ではよくあることですが、今回はそれがこれでもかと噛み合っていました。本当にエンドロールの最後まで観て欲しいのですが、観た後にはきっとこの曲を口ずさみたくなると思います。この物語における希望の歌であり、観客へ向けた抱擁の歌だったと思います。

3 永作博美を中心とする演技
役者も素晴らしかったです。表情のみの表現、言葉だけの表現など、かなり難しい描写が多い作品でしたが、各役者が素晴らしい表情で演じきっていました。特に永作博美が凄くよかったです。ときおり永作の演技は過剰さというか大袈裟さが目立つ気がするのですが、本作では養子縁組の母というポジションにおける喜び、苦悩、葛藤を、各パートで完璧に演じきっていました。圧巻です。

他にも素晴らしい点を挙げればきりがないのですが、とりあえずこのくらいで。
家に帰ったら『星の王子さま』とか読みたいですね。
しん

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