タピオカ

朝が来るのタピオカのレビュー・感想・評価

朝が来る(2020年製作の映画)
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風俗の女の子が、特別養子縁組で養子をもらう夫婦に対して言った「全部手に入れようとしてるようで恨めしい、けど自分(の経済力)では育てられない(から感謝しなくてはならない)」というセリフがもっとも印象深い。この制度の感情的な負荷を見事に言い当てていると思いました。代理出産でも似たような負荷が大いにかかると思う。

そしてこの映画は日本の性教育が完全にオワコンであることも、日本の不遇な女性たちの人権が蔑ろにされていることも示唆している(不遇な男性たちの人権も、かもしれない)。
私が中学生だった当時の知識レベルを思い出すと、ひかりちゃんのような事態になっててもおかしくないと思った。実際全くそんなことはなかったが(そもそも恋愛するチャンスが皆無だった)、考えただけでゾッとする。

支援のあり方も周りのあり方ももう一歩踏み込まなければならない。
ひかりちゃんが結局高校に進学できなかったり、風俗の子達がまた風俗に戻ってしまうようでは自立のための支援が足りないと感じました(そしてそれは団体の責任ではなくむしろ社会の責任かと思う)。
しかしながら鑑賞後読んだ以下のコラムのように、特別養子縁組に出した経験をきっかけに昼職に転職したりという事例もあるようで、希望が持てる。ほんとうに素晴らしい活動をしていると思う。
https://search.yahoo.co.jp/amp/s/sukusuku.tokyo-np.co.jp/birth/37676/%3Famp%3D1%26usqp%3Dmq331AQFKAGwASA%253D


終始上品で穏やかで、丁寧に作られた映画であることに間違い無いですが、憤りも湧きました。

そして邦画で河瀬監督に並ぶ人は本当にいない!ストーリー、役作り、空気作り、カットの美しさ、どれをとっても一流で完璧で感嘆する。
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