このレビューはネタバレを含みます
河瀬監督の作品は今回初めてだったが、暖かい陽射しが、まるで演者を優しく包み込むような光の演出が秀逸だった。
ひかりの変貌ぶりに、栗原夫妻はひかり本人とは気づかない。それほどにひかりの身に起きた辛い現実。あさとの産みの母を名乗り強迫してきた少女が、まさかあのあどけなかったひかり本人だったということが明らかとなっていく後半は、なんと無情な運命なのかと、一人苦しみを抱えて生きるひかりが憐れでならなかった。
「なかったことにしないで。」というひかりの、最初で最後の叫び。あさとくんの連れてきた朝は、あまりにも眩しかった。