ヨウ

カセットテープ・ダイアリーズのヨウのレビュー・感想・評価

4.3
「カセットテープとの出会いが人生を変える」
これは期待を大きく上回ってくれた。自らの出自や置かれた状況に嫌気がさしていた高校生のジャベド。そんな時、友人から借りたカセットテープを聴いてとてつもない衝撃を受ける。ブルース・スプリングスティーンの一つ一つの歌詞がジャベドだけではなく、悩める全ての若者たちの気持ちを代弁している気がして刺さりまくった。周りからの価値観の押し付けに抗うように自分の思いをぶつけ、自分をさらけ出していくジャベドの姿に感銘を受けた。ジャベドたちとともにブルースの曲を聴いていると楽しい気持ちにもなれるし、心動かされる。本心に従い自分を出していくジャベドの行動がやがて偏屈な考えをもつ大人たちにも影響を及ぼすのであった。「自分の物語を書き上げろ。我々のことも忘れずにな。」という父親の言葉に涙した。生まれ故郷の支えを実感しながら自分の物語を築き上げていく旅立ちを象徴するような素晴らしい作品であった。「身の程に合った将来選択」という概念をぶち壊し、夢追う人々を後押ししてくれるような内容に、観る人はたくさんの勇気と感動をもらえることでしょう。
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