kazuuu

カセットテープ・ダイアリーズのkazuuuのレビュー・感想・評価

4.4
これは今年ベストかもしれない!

ブルーススプリングスティーンの音楽に出会い、青年が新たな一歩を踏み出すお話。

主人公のジャベドはパキスタン人であり、迫害や差別を受けている。また、彼は物書きになりたいが、厳格な父親は、「物書きなど裕福な白人がする事だ!」と言って彼の事を認めない。
そんな中、ブルーススプリングスティーンの音楽と歌詞が、彼の救いとなる。「俺たちは走るために生まれてきたんだ」「俺は子供じゃない、一人前の男なんだ」
私はこれらの曲を、本作で初めて聴いた訳だが、観賞後は延々にリピートしている。力強い歌声と心に訴えかけてくるリリック。思春期の頃に知っていたら、私もジャベドのように強く影響を受けていたかもしれない。

ジャベドが歌に勇気づけられ、一歩を踏み出す毎に、良い方向に向かっていく。爽やかな音楽にのせて、ユーモアを交えつつ描かれるその様子は、観ていて清々しく、眩しい。移民や不況など暗くなってしまう題材ながら、爽やかである。
そんな中、やはり父親との確執が起こる。この辺りは、思春期の頃に親と衝突した経験を持つ人は、かなり共感できると思う。認められたい、一人前に扱ってほしいという感情。
そして、この父親との関係がどんな結末を迎えるのか、が私的にこの映画の最大のオススメポイントだった。どんな終わり方かは、劇場で確かめてほしい。

疾走感ある音楽にのせて、爽やかに青春を描いた作品であり、観終わった後はブルーススプリングスティーンの音楽を聴きながら、全速力で駆け出したくなる作品だ。
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