つきしま

カセットテープ・ダイアリーズのつきしまのレビュー・感想・評価

4.0
超絶ドストレート青春物語、父親がパキスタンからイギリスへと移民してきた少年がブルースと出会い、空っぽの毎日から青春を謳歌する物語。
音楽が軽快で映像と素晴らしくマッチング。何も考えずに笑顔になれる映画で、本当に素晴らしい。
細かい観点もとてもよい。PAKIS(蔑称、パキスタン野郎)と差別を行ってる国民戦線(ネオナチ)が主人公の家や近所に落書きを行う。主人公は詩を書くことが好きで、国民戦線に対しての不満を書いていた。ふとした表紙で隣人の老人がソレを見る機会があり「私は戦争中に鉤十字と戦っていた」と呟くシーンがある。世代感のギャップを描きながらも本筋にはブレを与えないのにも関わらず、強烈な印象を持つ。このようなふとした演出が積み重なり、素晴らしい映画が形成されている。
また友情、家族愛もベタながらも丁寧に描かれており、ニッコリしてしまう。
しかし主人公がアメリカはイギリスと比べて自由だ!というが、最近のBLM運動を考えるとアメリカも分断が激しいので、考えさせられてしまった。
サッチャー批判など当時の政治を調べてから見るとより楽しめそうである。
つきしま

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