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Winnyのopokoのレビュー・感想・評価

Winny(2023年製作の映画)
4.0
2023/03/14鑑賞、伏見ミリオン座

Winny開発者の逮捕と、Winnyを使用しないよう社会が動いていた時を自分も社会人として見聞きしており、映画化はとても興味のあった作品。

ストーリーは、
P2Pを利用したファイル共有ソフトWinnyを開発した金子勇氏の逮捕から、一審の裁判までの金子氏と弁護団の話(実話)。

感想は、
金子氏役の東出昌大と弁護士役の三浦貴大が役作りの為に、体を巨大化させてたのは驚いた。しかし、男前は太っても男前です。

Winnyについては、当時会社で使用禁止、個人PCにもWinnyがインストールされていないかを専用ツールでチェックし、結果を会社に提出した記憶があり、まさに「Winny」は悪という風潮だった。

今回の映画では、各警察のデータの流出があったことをWinnyが原因であるかのように、議論のすり替えを疑うような描き方になっていた(事実はわからないけど・・)。
これは、Winnyが悪いのではなく、当時セキュリティの認識も低く、ウィルスに感染したことが原因であったが、当時の国民全体のITスキルとではそこまでは理解できなかっただろう。
また、組織のPCにWinnyインストールしてたことが問題。

しかし、本作のように組織の意思で、開発者を悪者にする論点の擦り替えであれば最大の不当逮捕であろうし、組織の闇を感じる。

本作では一審判決(有罪)までを扱い、のちに無罪判決を勝ち取ったことは字幕での説明であったが、できればいかに、司法に開発者が悪ではなく使用者の問題であることを理解させたのかまで描いてほしかった。

最後、姉役の吉田羊の演技と形見の眼鏡を弁護士に渡し「金子勇の生きざま」と伝えるシーンは、涙があふれた。
金子氏は、プログラミング以外には興味の薄い人だった印象だが、劇中でもお姉さんとのつながりは深かったと感じた。

Winnyについては、PCにインストールしなければ影響はないし、Winny用の共有フォルダを設定することで、その共有ファイルのあるデータの相互利用である。各警察で被害があったということは、警察のPCにWinnyがインストールされており、さらに共有設定されていたということ。
今なら、国民全体もこのくらいのことは理解できる。
まさに、早すぎた天才。
だけど、なんで2ちゃんに公開しちゃったのかな。


余談
過去の組織、司法の判断をなぞる映画の為、資金集めには苦労したと監督インタビューで知ったが、主演の東出昌大はプライベートでごたごたがなければ、本作に出演してたのかなぁと思った。
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