nana

Winnyのnanaのレビュー・感想・評価

Winny(2023年製作の映画)
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ネット史上最大の事件、とありますが私は全く知らなかったので、この映画がきっかけで初めて金子勇という人、そしてWinnyについて知ることができました。
いろいろなことがあったけど、役者・東出昌大はやっぱり天才だなと思わされると同時に、当時の空気感も伝わる地道で堅実な法廷ドラマになっていました。

決して「ネット民が正義」のような安易なオタク礼賛にはなっておらず、ネットの暗の面にも切り込む作品となっています。
金子氏が無罪を勝ち取ったのは、弁護士たちの尽力、そして金子氏自身がWinnyを信じていたからです。
もちろん、ネット民が彼を助けようと弁護費用をカンパし金銭的にも精神的にも支えていたという事実もしっかり描いています。
東出昌大の演技もあり、金子氏は本当にプログラム一筋の天然愛されキャラだったんだなと物語の節々で感じました。だからこそ警察のいいようにされそうになり危ういのですが。

これは誰か特定の個人を悪とし告発するような物語ではありません。
警察だって、騙してサインさせたりはもちろん駄目ですが、彼らは彼らで自身の職務を全うしようとしていたのかもしれません。
まだネットというものがよく分からず、使わない、知らない人にとっては「なんか怖い、怪しいもの」だった時代の話です。
愛媛県警の件も、誰々を罰すればOKではなく警察のシステム自体を見つめ直さなければ、きっとまた別の形で悪事が出てくるでしょう。

彼が今も元気でプログラマーを続けていたら、なんてことはどうしても考えてしまいます。
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