あき

ドリーミング村上春樹のあきのレビュー・感想・評価

ドリーミング村上春樹(2017年製作の映画)
3.5
脳内メモのまま放置していたものたちを少しずつ記録にしていこうトライアル。

村上春樹作品は実はあまり得意ではなかったりする。けれど、別の映画を観に行った時にたまたま流れたこの作品の予告の中の、「難しいのは翻訳のテクニックではない ムラカミが醸し出す世界観を伝えることだ」という言葉に、とても興味を惹かれた。

昔、大好きだった吉本ばななの作品を英語で読んだ時、脳裏に描かれる世界が日本語の作品とあまりに違ってショックを受けたことがある。自分の英語力が深い解釈をできるレベルではなかったというのもあるけれど、「言語」というフィルターを、たぶん初めて実感した時だった。そんな体験があったからこそ、この映画に映し出される翻訳家の闘いが、ものすごく気になった。

言葉の背景には作者がいて、作者の背景には文化がある。ひとつのワードであっても、それをどの言葉に置き換えるのが適切なのか、とことん考えて、リサーチして、議論していくそのプロの眼差しに触れられる、良い時間だった。

ちなみに、「バタンバタン」がどんな音か、っていう議論が予告にあったけど、日本語の擬音語の難しさという話を以前友人からも聞いて興味深かった。雨ひとつとっても「ザーザー」「パラパラ」「しとしと」…これ説明するの、難しい。
あき

あき