キャプまる

新解釈・三國志のキャプまるのレビュー・感想・評価

新解釈・三國志(2020年製作の映画)
2.5
2019年最後の映画鑑賞。

テンポはかなり悪くストーリーも面白くない、ギャグに振り切った作品。
コメディなのでストーリーを求めるのはお門違いかもしれないが、それにしても話の流れと場面のぶつ切りが過ぎる気がした。
しかし、三国志をほとんど知らない自分からすると新鮮さはあった。

序盤の戦闘シーンと中盤の趙雲の戦闘シーンは良かった。福田監督の作品の銀魂2の頃より格段にアクションシーンがパワーアップしている。あくまでよくわからないところでスローモーション多用していたあの頃と比べてだが。主に岩ちゃんの早回しのアクションが良かった。

新解釈ということで無茶苦茶やるために必要だったかは知らないが、西田敏行の説明は正直いらなかったと思う。確かにあれで広く知られていることとこの映画の違いというのがわかりやすくはなっていたと思うが、そんなのは映画を見て興味が出たらあとで個人でいくらでも調べられるのでただただ著しくテンポを損ねているだけの演出になってしまっている。
あれだけテンポを損ねるなら徳島アナの説明だけで良かった気がする。

それに説明を聞いていると思ったより滅茶苦茶にはしていない印象を受けた。もっとかけ離れてふざけまくってたら楽しみようもあったが、あくまでそう解釈できなくもない程度の範囲で納めているので「私はこんなふうに思うんですね」と自信ありげに出されても「ふーん」ぐらいの感想しか出てこない。
ストーリー自体も三国志という元が長い物語なので仕方ないかもしれないが、2時間に収めるためか場面がちょこちょこ飛び飛びになっているのでカタルシスもクソもなく、テンポが悪くどこで盛り上がって良いかわからない構成になっている。
結局、映画的な見所は岩ちゃんのアクションだけだったのがなんだかなあという気持ちになる。

あと他の方も触れているが、貂蝉や城田優に対する容姿いじりはどうかとおもう。
「このぐらいなら笑える範囲だしオッケーだろ」といういかにも前時代的な人間の浅慮な思考がいやでも伝わってくる。
メディアでは日本を代表するとまで言われてる福田監督がまだこんな価値観を持ち続けているのに対してスポンサーや制作会社の人間は危機感を持った方がいい。

とはいえその他のギャグシーンは流石の福田監督で笑えるシーンはちょこちょこあったし、岩ちゃんのあの鼻につくイケメン演技や「でもさ」、「ネバ☆ギバ」「怒るでしかし」のシーンなど普通にバラエティ番組を見ている時の楽しさがあったので良かった。
映画的なおもしろさは皆無だが、友人とだらだら突っ込んだり笑いながら見るには最適な映像だと思う。

これも『三角窓の外側は夜』と同じで作品自体の出来栄えは微妙も微妙、というか映画的には魅力無しだが途中で耐えられなくなるようなむず痒さなどはなかったのでこの評価。
キャプまる

キャプまる