武将たちの軽いノリの掛け合いが笑えない。
劉備(大泉洋)を始めとする英雄や側近たちがゼロ年代頃の東京的若者言葉(+北海道訛り)・流行り言葉で軽いノリの掛け合いの繰り返し―。
「吉岡里帆が出ている宝くじのCM」よりは幾分マシだけど、なぜだか器が小さい武将たちの“すべり漫才”をずーっと観せられているようできつい。
セリフとナンセンスな動きだけで笑いを「取ろう」としてくる。
「けちょんけちょんオブザイヤー」といったようにセリフが軽ければ面白くなるとの勘違いが痛いし、渡辺直美が演じる貂蝉が豊満すぎる肉体を小刻みに動かすダンスなんて宴会芸すれすれで、笑わせようとするからかえって笑えない。
特に貂蝉のくだりはブス・デブを逆説的にあざ笑っているだけなので悪ガキ並みにセンスが悪い。
そのくせ展開は史実や伝承に依存していて独自ストーリーで面白みを作り出すこともなく、キーパーソンとなる黄夫人(橋本環奈)もゲームキャラ設定のようなパターン化された「S女」の性格で描かれる。
こんなお手軽に拵えた代物はとてもコメディ映画なんていえたものじゃない。コスプレ感がないのだけは救いだが。
盛り上がらない。引き込まれない。
オリジナルコメディを組み立てる力量が福田監督にないことを明確に示した作品。値段の高い有名俳優をいいようにおもちゃにした作り手の道楽としかいいようがないほど薄っぺらい映画。