ジョー

12番目の容疑者のジョーのレビュー・感想・評価

12番目の容疑者(2019年製作の映画)
3.0
 白井聡氏の本を読むと、北朝鮮の核開発をやめさせるには、朝鮮戦争を終わらせないとダメだ、と書かれている。
 ええ?朝鮮戦争ってそもそも終わってないの?という驚き。なんでも国際法では未だに休戦状態らしい。
 韓国は長らく軍部が支配する政権だったがわけだが、戦争が終わってないのなら、それも納得がいく。
 というか、この密室劇のアカか否かのいたちごっこの世界が、この国ではいまだに続いてるのかなあ?
 軍部と詩人、小説家、画家連中との対立関係が。

 密室劇の前半はかったるい。画家とか詩人とかが、コーヒーがまずそうな喫茶店で、勝手気ままな言論闘争を展開している。ところが後半になって、軍部の人間の暴力が過激になってくると、皮肉にもとたんに緊張感が増していく。
 休戦状態は、民主主義が暴力に屈する状態とでも言いたげに。

 喫茶店の店主が軍部の人間に吐露した、「正義のない歪んだ愛国心」という言葉が、すべてを物語っているようにも思えた。
 休戦状態にすぎないという紛れもない真実。密室の中に38度線がある。そんな錯覚にとらわれた。
ジョー

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