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さすらいのtaのレビュー・感想・評価

さすらい(1975年製作の映画)
4.8
今まで観たヴェンダース作品で一番良かった。彼ほど映画的な感性をもっている作家もいないし、この作品ほどその感性が表れているものもないのでは。
ドイツの風景に漂うスライドギターの音色がそれとなく報せるように、ヴェンダース憧れのアメリカ文化とよく見知っているドイツの風土とが混ざり合うことで生まれる映像は、彼の心象風景そのものなんだと思う。混ざり合わされた両者は、「アメリカ」「ドイツ」という固有性からやんわりと逃れつつも自らのルーツを保持しつづけるわけで、それはこの作品における「移動」のテーマとも響き合う。
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