ロメオ

音楽のロメオのレビュー・感想・評価

音楽(2019年製作の映画)
4.2
あらすじに書かれてる「ロック奇譚」という言葉そのままの映画。

本作で原作者の大橋裕之氏を知ったが、つげ義春作品が好きな自分としては、現役漫画家にもこんな微妙な人間の機微を漫画にしている作家が居たのかと驚いた。

映画鑑賞後、大橋裕之氏の原作を色々読んだ感想としては、本作の「音楽」は氏の作品としては決して飛びきり完成度の高い作品では無い。
他の作品に比べて、かなり分かりやすい部類の作品なので、少し大味とも言える。

しかしこの映画は凄い。原作の魅力を何倍にもして膨らませ、映像の躍動を圧巻の鋭さで見せている。
原作はあくまで序章で、この映画で「音楽」という作品は完成したとさえ言えると思う。

脱力感満載なのに、初期衝動溢れる。
という、一見矛盾した二つの要素を完全にひとつに調和させている。

もちろん全然内容は違うが、ゆるいのに何処かロック。という意味では、松田優作の「探偵物語」が好きな人とかに是非観て頂きたい。
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