すずす

リスペクトのすずすのネタバレレビュー・内容・結末

リスペクト(2021年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

ネタの枯渇感が甚だしいハリウッドで、こぞって製作される戦後ミュージシャンの自伝映画の一本。シュープリームスやクイーンの映画と大差ない定番の作り方ですが、レコード制作場面が多い分、音楽好きにはお奨めかも知れません。

ゴスペル歌手として才能溢れるリーリー(アレサ)は、牧師の父の客寄せパンダ的にパーティーや教会で聴衆を喜ばせていた。要求通りに歌う必要はない、と助言をくれる、父と別れた母が死に、彼女は若くして子供を宿してしまう。父のいない子供で、父から悪魔が棲みついていると云われ続けることになる。
父の売り込みでコロンビアレコードから9枚のアルバムを出すも売れない中、アトランティックに移籍、乱暴な亭主と共にアラバマのFAMEスタジオでの収録で意外なヒット『貴方だけを愛して』が生まれ、オーティスのカバー曲『リスペクト』とヒットが続き、人生が好転する。しかし、父との関係、亭主からの暴力、酒に溺れ…

この種の映画の中に在りがちなヒットが続きゴールドディスクが増える様な場面が少なく、アレサがアレンジの才能に秀でていた点を、フィーチャーしたのが良かった気がします。FAMEスタジオでの白人スタジオミュージシャンとのアドリブのギグ、そして、夜中3時に姉妹を叩き起こして生まれた『リスペクト』のコーラス・アレンジ。

また父が胡散臭い牧師で、大きな家に住む成功者だが、やってる事は中々エグい背景も、ソウルシンガーに在りがちな複雑な家庭事情を垣間見せるのも面白い点。
クライマックスのゴスペルは迫力満点、感涙ものです。

アレサ・フランクリンも好きだし、それ以上にフォレストウィテカー好きなので、星は多めです。
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