「本当の自分なんて知りたくない。」
~これはごく平凡でありふれたラブストーリーのひとつだ。~
既視感のある痛みを味わうトラウマ級の苦しい恋愛作品。
構成が3部に別れており、chapter1で描かれる夢を追う若者の青春じみた恋愛劇。これがchapter2でひとりの女性の真実が見えることで話が大きく変容する。時系列を前後して目線を変えるだけで人間模様大きく変える。
chapter3からカメラマンとして順風に仕事を納めていくのに対し、ヒロインは未だ夢を掴めない。対照的で容赦なく描かれる構図は居ても立っても居られません。
ここから、只の恋愛作品としてより
【若い女性が搾取される現代社会のシステム】が浮き彫りになってきます。
夢見て上京した無知な田舎者が搾取され、嘘をつくことでしか保てないほど自尊心を削られた弱者。積み重ねた小さな嘘がやがて信頼を失う。そんな彼女をまたファインダー越しでしか捉えることが出来なかった。
残酷で悲痛で正しく傑作だと思います。
『ファインダー越しでは〝私〟は見えない。』
まあ夢追い人かどうかは別として、ユカは女性らしいと思いました。好きになってくれる人より、憧れる人を好きになる。平気で嘘を塗り固めて浮気する典型的なメンヘラタイプ。ただそういう人ほど絶妙な魅力と儚さを兼ね備えていてほいほい男は引っかかる…嫌悪感すごいけど多くの男性が沼るタイプなんだろな…
