しん

ゴースト・フリート 知られざるシーフード産業の闇のしんのレビュー・感想・評価

3.6
日本人が大好きなシーフードは誰が漁っているのか。普段あまり気にしないことの裏側にある奴隷労働の実態をあばいた、迫真のドキュメンタリーです。

まず出てくる証言がどれもエグいです。給料は一円も払われず、ウトウトしただけで鞭で叩かれ、そしてここには書けないようなグロテスクな内容が繰り返し語られます。文字通り現代の奴隷と呼べるその実態は、「人権が軽視されている」といった優しい言葉を許さないほどの残酷さです。最後に語られますが、これは解決した問題ではありません。安易に言うべきではありませんが、私自身の生活を見直すことがすぐにでも求められていると感じました。

そして、彼らの「奴隷期間」の長さも凄いものがありました。1年だからといった意味ではありませんが、10年や20年という単位が平然と出てきて、それが詐欺と拉致に基づいているというのは、本当に深刻かつ想像を絶する苦痛でしょう。海の上の孤独、家族との離別、払われない給料、身体的虐待と拘束。目を背けてはいけない、信じられないほど深刻な人権問題が、日本のすぐ南の海で起こっていました。

知ることは第一歩と言われますが、第一歩で終わらせてはいけない問題だと強く思います。
しん

しん