南森まち

ゴースト・フリート 知られざるシーフード産業の闇の南森まちのレビュー・感想・評価

1.3
騙されて漁船で奴隷的労働者として働かされているタイの人々に迫ったドキュメンタリー。

私は怒っています!
上のあらすじ以上の情報はほとんどない。普段、輸入海産物をよく食べる身としては興味深く、どんなもんかと期待して見に行ったのだが期待外れ。

逃走してきた人々のインタビュー、間に挟まれる淡々としたイメージ映像、家族との涙の再会、で終わり…。ニュースの3分コーナー程度の情報しかないものを、むりやり引き延ばしたような内容だった。

テレビの特集番組のような、専門家によるタイの司法や漁業産業の説明、漁業会社やタイの司法当局へのインタビューなどの客観的な情報はまったくない。
ドキュメンタリーなのに、被害者のインタビューだけってどうなんだ。全体的に掘り下げ不足で、ひどい出来だった。

しかも、製作は当事者国のタイではなく、アメリカ。監督の一人は肉牛畜産で有名なテキサス州出身。
…うがった見方をすると、この映画はアメリカにおける海産物ボイコットキャンペーンなんじゃない?

最初に出てくるタイのお兄さんが、「繁華街で女の子のいる店に行こうと思って歩いてたのが最後の記憶。気がついたら漁船に乗せられていた」と言っていて、エリア88の冒頭を思い出したことだけが良かった。

この映画の制作背景のほうが闇だ。
『ダーウィンの悪夢』の方が数百倍良かった。金を返して欲しい。