紅孔雀

ミッドウェイの紅孔雀のレビュー・感想・評価

ミッドウェイ(2019年製作の映画)
4.6
日本本土初空襲後の米飛行士(A.エッカート)に絡む中国人の描き方、漂流していた米兵を救いながら海に投げ落とす日本海軍の残酷さ等、問題シーンが批判されているのは分かります。それでもドイツ人監督エメリッヒが、なんとか日米に公平な視点を保とうとしている努力を評価したいと思います。
いや、評価と言うより、実は現代特撮技術の粋を極めた戦争映画として“後世に残る”一作と持ち上げたい気分でありマス。
特に、当時のアメリカ側から見て我が日本は不気味な存在だったんだ、という視点が秀逸。その恐怖感が、現在の日米安保で我が国を自国に繋ぎ止めておきたい、という深層心理の原点なのか、と思ったりもしました。圧倒的有利だった日本が情報戦で負けた、ということも(私的には)発見で、情報将校(P.ウィルソン)の存在感も説得力がありました。
ちと褒め過ぎですが、破壊王・エメリッヒ、前作『インデペンデンス・デイ: リサージェンス』の不調を吹き飛ばす復活作と評価したいデス。
なお、名優たちを差し置いて主役を張ったE.スクラインも、豪胆さと繊細さを兼ね備えた演技が光りました。ちょっと、D.D.ルイス似の横顔が良かったです。
PS : 主題歌はF.シナトラが歌ったジャズのスタンダード「All Or Nothing At All」(“全てを手に入れるか、さもなければ何もない方がいい”)。エンドロールで歌う女性シンガーの気怠さがクセになります。
紅孔雀

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