シム

犬王のシムのネタバレレビュー・内容・結末

犬王(2021年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

犬王の汚物みたいな身体が、芸の上達によって美しく変わっていく過程は、異端と言われる芸術の価値が大衆に理解されていって結局1番て認められていく流れを比喩してるような気がした。星野源の音楽がポップの中心になったみたいに。星野源の「ブサイクでも表現が認められれば、次第にその人の顔が良いってことになってくる」みたいな価値観そのものじゃん。

だからこそアブちゃんが声優だったことがあまりにもハマっていたし、声の表現と歌に鳥肌がたった。

芸術が社会の権力に縛られて、犬王は無惨に才能を殺され、逆にともなは抗ったがために殺され、世阿弥の平凡な能が全盛を握ることになる。

そうして2人の怨念は今もこの世に残り、ここで再び踊り出す。

全体的に忘れられた人たちの怨念がテーマで、結局犬王に取り憑いた平家の怨念は解かれるけど、その最後の要因の仮面に関してはちょっと分かりづらかった。でも最後の締めくくりの驚きは気持ちよかったし、2人が再会できて良かった。歴史の価値というか楽しみ方を得られた気がする。

おだっちの「新人のころは変な絵ってたくさん言われたけど、そりゃそうでしょ、僕は周りと違うことに命を賭けたんです。」と、成田悠輔の「人目につきすぎると他人の評価のせいで自分の作品が無くなる」って言葉の2軸が最近響きすぎてて、犬王見ながらめちゃくちゃ改めてそれを実感した。
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