iwashi

生きるのiwashiのネタバレレビュー・内容・結末

生きる(1952年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

集中できなくていつのまにか死んでました。
しかし死んでから面白くて、ちゃんと観れなかった前半が気になって立て続けに2周目も観ました。
そらそうやろって感じですが、前半もめちゃ大事…。

映画、なんですよねえ。やっぱり黒澤映画は。楽しませてくれるつくりになってる。

だからか、テーマが重いのに軽やか。

後に生きてくるシーンやセリフ、表情を正確に組み合わせて違和感なく進んでいくんすねえ。
いい意味で都合のよいストーリー。

病院であのおせっかいなおじさんが胃ガンについて講釈垂れなかったら?
もしかしたらなにも知らず死んだかもしれない。
市民が訴えを諦めた日、渡邊課長が出勤していたら?
なにも考えず公園建設を見送る書類に判子を押していたかもしれない。
息子と嫁の会話を聞かなかったら?
小説家に、小田切さんに、出会わなかったら?


葬式から先に見せる構成の効果はどういうものだろう?
もし、葬式が最後だったら?
そうなればこの映画の中心はずっと渡邊課長だったろうな。

中盤で葬式に至る構成にすることで映画の中心は、渡邊課長そのものから、一歩外の人々に移動しました。
各々が描いた渡邊課長という円が次々重なりあっていき、彼の終末期が色濃くなっていく。この畳み掛けがたまらない。


葬式ラストになって皆が

「渡邊課長の死に続けえ!」

と大盛り上がりになってるところは調子よすぎて笑っちゃいました。

人間そう簡単に変われませんよね。
原始の頃から変わっていないでしょうああいうところは。


あとはそうそう、キャストの演技総じて素晴らしいのですが、とにかく志村喬さんの表情と声が凄すぎましたね。
iwashi

iwashi