このレビューはネタバレを含みます
大学生時代に見て感動して、20年以上経って癌に罹患して見てもっと感動してしまった。
これが70年も前の映画なんて。
本当にこれは不朽の名作やと思う。
時代は戦後だし地域コミュニティとかもあったり和式の家とか懐かしいなぁと思ってしまった。
流石に今とは時代背景は違うけど、これをリメイクしたりするする人がいないのが不思議なくらいの名作。
癌に罹患した事を感づいた主人公志村喬がキャバレーで小説家と遊びまわったり、その覚えた遊びを部下の若い子としたりというのが前半。
そして後半の主人公の行動は主人公が亡くなった後のお葬式で周りにいた人達によって客観的に語られる。
前半のお遊びも「生きる」って事やし後半のお仕事も「生きる」って事やね。
部下の若い女の子がこの上なく良い笑顔を作ってくれる。生きるっていう事の本質を志村喬はこの女の子にみるんやけど、いつの時代も若い女の子は生きるって言うことの本質を知っている気がする。
自分が死ぬ時に問われるのは自分がどんな地位にいたかではなく、何を得たかではなく「何を残したか」ではないでしょうか。
裏テーマとしてお役所仕事の痛烈な批判というのがあると思うんだけど70年たった今ですらリアルに思えるこの不思議。
前半部分で出てきた小説家や部下の若い娘が後半のお葬式に出てこないのも良いなぁ。
細かーい所の見せ方も抜群だよな。